第五回 安物買いの高音質
(2003.10.30)

昔昔から安物買いの銭失いという言技があるように安いものは、壊れやすかったり、 満足な品質が得られず結局何回も買い換えなければならなかったりで、 結局損することが多いと言われてきました。
しかし、ことエレクトロニクスについていえば、単純に安かろう悪かろうが当てはまらないことが多いです。 同じ価格のコンピュータの性能は18ヶ月毎に2倍になる昨今でありますから、 新しい物ほど同じ値段でも品質は良いことが多いわけです。
コンピュータの世界ほど顕著ではないものの、やはりオーディオ周りも、日進月歩があって、 新しいものほど、高品質になる傾向があるかと思われます。

そこで今回は、僕が買ってみてこれは買った甲斐在り!!と思ったオーディオ関係の 機材を紹介してみたいと思います。
まずその前提として、なるべくハイファイな音声をパソコンに直に録音したいという目的があるものと設定したいと思います。 何故ならばそれが僕自身の目的であって、そのために色々と物色している分けですから。。。
あと、このコラムでは買い!買い!と騒がしいですが、本当に買うかどうかはあなたが判断して下さい、このコラムの内容が正しいかどうかは私は保証致しかねます。

EDIROL UA-3FX

UA−3シリーズの現行最新の機種です。UAシリーズはUSB接続のオーディオインターフェイス(音声をパソコンに取り込む機材) なのですが、その中でもUA−3シリーズは、コンパクトで軽量で、USB電源に対応していて、 それでいて中々の高音質でまあまあ安いというのが売りでした。
今回もシリーズの路線を継いでいるわけですが、今回は24ビットレコーディングに対応して、ますます高音質に拍車がかかっております。
僕は先先代のUA−3を持っているのですが、それと比べると大幅に音質は向上しています。本当に掛け値なしです。マジです。 ただ単に24ビットに対応しただけではなく、S/N比の良さが抜群なのです。正直いって上位クラスのUA−5よりもS/N比は高いです。
音量を最小に絞った状態で録音してみると、24ビットのうち、ノイズに食いつぶされるビットは2、3ビットといったところです。UA−5の場合は、SN比は実質90dB程度しかありませんでしたから、8ビットは食われている気がします。(UA−3FXの鳥説にはS/N比は102dBとあります、もう少しあるような気もしますが、、)
ヘッドホン端子からモニタリングすると、UA−5に比べて若干R社臭い、、もといプラスチックな感触の音のような気もしましたが、 一旦録音した後に、UA−5でプレイバックしてみますと、特にそんな感じもしませんでした。
サンプリング周波数は48KHzまでしか対応していませんが、どうせCDに収めるとしたら44,1KHzになってしまいますし、実際にはオーバーサンプリングによって、もっと高い周波数で処理している分けですから、96KHzサンプリングできないからといって低音質ということにはならないと思います。
UA−3FXを買う時店員さんに「44.1KHz録音で、UA−5やDuoと比べて、音質の方はどうですかね?」ときいたら、
「USB電源だし、値段も値段だからやっぱUA−5とかの方が良いですよ」と言われましたが、僕の耳を以ってする限り、それは間違いだと思います。
これだけの音質でお値段は1万7千円くらいで買えてしまうわけですから、間違いなく買い!でしょう!
ついでに、色々なDSPエフェクトも付いてます、コンプとかイコライザとか、リバーブとかコーラスとかピッチシフトとか、エフェクトとして遊べたりもしますね。でも、足りない機能もあります。ハイファイレコーディングには欠かせないコンデンサーマイクを繋ぐためには、XLR端子とファントム電源が必要ですが、UA−3FXにはありません。なので別にマイクプリを買う必要があります。それは次で紹介しますが、それを買ったとしてもUA−5より安いこの事実!。

BEHRINGER EURORACK-MX602A
周波数レンジ10Hz〜60KHz、ゲイン幅+10〜+60dB、歪み率0.007%(1KHzの入力で、80KHzまでのバンド幅において)、S/N比113.6dBのマイクプリを2基搭載した、計6チャンネルのアナログミキサーです。
手の平に乗るようなサイズですし、値段も6千円くらいでしたので、試しに買ってみるつもりで、買ったのですが、期待を大幅に裏切ってくれました!もちろん良い意味でです! えーと、数字では分からないという人に感覚に訴える表現を致しますと、、CDなんかクソ食らえ!!というくらいの高音質です。ヘッドホン端子で直にモニタリングすると、ダイナミックマイクであるSM58などが、まるでコンデンサマイクなのかと疑いたくなるほどクリアーに聞こえます。録音した段階で音質が落ちてしまうわけですが、、
これはもう信じて頂くしかありませんが、在り得ないです。仮に10万出して買ったミキサーなりマイクプリがこの音質だったとしても、多分満足してたと思います。そのくらい高音質です。
実は現行品はUBシリーズとなっているため、この製品は既に取り扱い中止となっています。ですので、新たに買う人はUBシリーズの購入をご検討下さい。1基のマイクプリで5チャンネルのUB502などは5200円くらいで売ってました。BEHRINGERのサイトで見る限り、UB502は周波数レンジは10Hz〜200KHzで、歪み率は0.005%に改善しているようです。、カ、買い替えようかな。。。
(2003.10.31追記)ちなみにUB502の可聴域(20Hz〜20KHz)での歪み率は0.0007%だそうな!
(2004.3.3追記)ちなみにUB502を購入しましたが、ファンタムは付いてませんでした。ええ、てっきり付いてるのかと思ったのに、、

RODE NT-1
安物本格派コンデンサマイクの草分けともいうべき製品です。大体2万円くらいでしょうか。 最近は、SEIDEや、STUDIO PROJECTなどからもっと安いマイクも出ているようですが、 僕が持っている物の中ではこれがコストパフォーマンスが最高です。
大口径コンデンサマイクとしての基本スペック(広くてフラットな周波数特性と低ノイズ、高感度、広いダイナミックレンジ)を満たしていて、 それでいて、必要以上に環境音を拾わないし、多少ドンシャリ系な音ではありますが、 ぱっと聞いた感じのハイファイ感はなかなかのものです。
値段も割りと手ごろなので、2本くらい持っててもバチは当たらないです(?)
このマイクが発売されて以降、高価格で高音質なコンデンサマイク vs 低価格で低音質なダイナミックマイク というトレードオフの関係は崩れて来ていると思います。
マイク自体の価格よりも、使用状況(防音室で録音するのか、普通の部屋で録音するのか)とか、求める音質(あくまでクリアーか、野太くワイルドな音質が良いのか)によって、マイクを選ぶ時代になったのだと言えましょう。
しかしハイファイで録りたいのならば、やはりコンデンサマイクが有利です。ダイナミックマイクを使うと、どこかフィルタのかかった音になってしまいます。コンデンサマイクで録音する場合は、できれば防音室などを使いたいところですが、普通の部屋でも、オンマイクで録音したり、回りが静かなタイミングを見計らって録音するなどすれば、どーにかこーにかノイズが目立たない録音はできるかと思います。
受け側の機材(マイクプリやオーディオインターフェイス)にも安価で高品質なものが出揃ってきましたので、 ハイファイレコーディングを堪能したいのであれば、コンデンサーマイクの購入を検討されては如何でしょうか?

BEHRINGER TUBE ULTRAGAIN MIC100
真空管タイプのマイクプリなのですが、真空管タイプにしては驚くほどの低ノイズです。
僕の場合、真空管タイプの機材は総じてエフェクタという位置付けとして考えていますので、 MIC100に求める品質は如何に気持ちよく歪んでくれるかだったのですが、
気持ちいいです。(´¬`)ええ。
お値段も手ごろな5200円です、ギター用のコンパクトエフェクターとして考えても、最安値クラスではないでしょうか。 それでいて、もちろんマイクプリとして設計されているわけですから、歪ませない状態での音質も捨て難いものであります。 2台買えば、並列にして、ステレオマイクプリとしても使えるし(それでも1万400円)、直列に繋いで、猛烈なディストーションサウンドを 堪能することもできます(それでも1万400円)。
A/D変換前のプリアンプとしても使えますが、パソコンで作った効果音をMIC100を通して、野太い感じに仕上げたり、2MIXした音楽ソースに最終的にアナログな感触を加えたりと、色々な形で重宝しています。

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